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面会制限に思うこと

しあわせの家寒川 施設長

  新型コロナウイルス感染症が厚生労働省のリリースに初めて登場したのは2020年1月でした。愛媛県で感染者が確認されたのは同年2月。そして4月には国が「緊急事態宣言」を発出することになりました。感染流行は3年目に入っても終息の目途がたっていません。   当施設は2020年8月1日に開設しました。   新型コロナウイルス感染症という未知の敵に対応しなければならない状況下でのスタートだった訳ですが、スタッフの皆が心を一つにして頑張ってきてくれたおかげで何とか無事にここまでくることが出来ました。   しかし、開設以来、未だに解決することのできていない大きな課題があります。   それは、「家族との時間を過ごす」という私たちが暮らしの中で当たり前にできていることを、ご利用者・ご家族の皆様に我慢していただくことになっているということです。   当施設は、ご家族の皆様に未だにご利用者の暮らしの場に入っていただくことができていません。リビングの雰囲気・お部屋の中の様子を一度も直接見てもらうことができていないのです。もちろん、面会を制限する中でも別室での対面面会を実施していた時期もありましたので全く会うことが出来ないという環境ではなかったのですが、現在はオンライン面会のみとさせていただいていますので人の温もりを感じるということにはなっていないと思っています。 ご家族の皆様は「仕方がない」と受け入れてくださってはいますが、コロナ禍で「利用者の安全を確保すること」と「ご利用者が望む暮らしを支援すること・ご利用者の暮らしを豊かにすること」という、相反するテーマを目の前に本当にこのままでいいのかと自問自答する日々です。   先日、感染対策を講じた上で面会制限を全面撤廃している特養の施設長の話を聴く機会がありました。「職員だって家では家族と普通に過ごすし、買い物にも行くでしょう。職員もご利用者の家族も普段の生活に大きな変わりはないでしょう。どうして家族だけが施設に入れないのかってことですよ。我々にご利用者の望む暮らしを奪う権利はありません。」という言葉に考えさせられるものがありました。   高齢者施設の面会制限については、施設長の判断に委ねられています。 「大切な人が安心して暮らせる場所をつくる」という当施設の方針に沿って、賛否両論あるとは思いますが「どこかで決断しないといけないな」と思う今日この頃でした。